最近ポータブルオーディオ業界では「MEMSドライバー」というワードが話題ですよね。
MEMSドライバー搭載のNoble Audio「FALCON MAX」の評判が非常に良く、気になっている方も多いと思います。
また、MEMSドライバーはどこが良いの?弱点はないの?と気になる人も多いと思います。
本記事ではMEMSドライバーについて解説したいと思います。
MEMSドライバーとは?
まず、ドライバーとはイヤホン内部にある音を出力するための装置で、簡単に言えば小さなスピーカーのことです。
ドライバーの役割や種類については過去に解説しているので、よければ併せてご確認ください。
MEMSとは(Micro Electro Mechanical Systems)の略で、加速度センサーやプロのサッカーボールに内蔵されているチップ(VR判定やオフサイド判定に使うもの)にも採用されている技術で、オーディオ専用の技術ではありません。
MEMSドライバーは米国のxMEMS Labという企業がMEMS技術を活用して開発したイヤホン用のドライバーのことです。
原理としては電圧をかけると伸縮するピエゾドライバーと同様の特徴を活かして、シリコン製の振動板が開閉することで音が鳴ります。
MEMSドライバーは非常に薄く小さく、かつ強靭なため、新しいイヤホンの技術として注目されています。
xMEMS LabはMEMSドライバーを「MEMSスピーカー」と呼称しており、本記事執筆時点では「Montara」、「Montara Plus」、「Cowell」などを販売しています。
ちなみに、Noble Audioの「FALCON MAX」は「Cowell」を高域用のドライバーとして採用しています。
MEMSドライバーのメリット・デメリット
MEMSドライバーのメリット
超小型
サイズ感はBAドライバーのように小さく、またBAドライバよりもかなり薄い形状です。よってイヤホンサイズのさらなる小型化に加速がかかることが予想されます。
防塵・防水性能が高く衝撃にも強い
MEMSドライバ自体の防水等級がIP58もあるため、水や粉塵に非常に強いです。
また衝撃や荷重にも非常に強いため、MEMS技術自体はサッカーボール内のVR判定やオフサイド判定に用いるセンサーの入ったチップとしても採用されています。
デリケートなBAドライバと比較して、この強靭さは嬉しい特徴ですよね。
製造誤差が発生しにくい
色々なパーツを組み合わせる必要がないため製造誤差が発生しにくく、いわゆる「個体差」が発生しにくいです。
製造コストが安い
製造コストが安いため、今後普及し量産が進むと安価に手に入ることが予測されます。
MEMSドライバーのデメリット
高い電圧が必要
様々な長所のあるMEMSドライバーですが、振動させるために高い電圧が必要という弱点があります。
つまり、専用アンプが必要となるためxMEMS社では小型の昇圧アンプをドライバーと共に提供しています。
よって筆者はアンプとイヤホンを同じ筐体に詰め込むことの出来るワイヤレスイヤホンがMEMSドライバーのこれからの主戦場になると予想しています。
まとめ
以上、MEMSドライバについて紹介させて頂きました。
MEMS技術自体は、イヤホンやスマホのマイクに多く普及している技術です。そう考えると強靭さについてはなんとなく理解できるのではないでしょうか。
FALCON MAXはハイブリッド型でダイナミックドライバーも搭載されているモデルですが、マルチMEMSやシングルMEMSのイヤホンも今後普及して欲しいですね。
ともあれ、自分の興味ある分野での新しい技術を追うのは楽しいですね^^