今回は日本の音響機器メーカー「final」が2022年12月16日に販売を開始した完全ワイヤレスイヤホン「ZE8000」を紹介したいと思います。
本記事をお読み頂くことで、以下のことが解ります。
- ZE8000のスペック・仕様
- ZE8000の総評
- 否定的な評価が多かったことに対する考察
- ZE8000を使用して良かった点、気になった点
ZE8000は発売当時36,800円と非常に高価でしたが、記事執筆現在は1万円代前半まで値下がりしており、かなり入手しやすくなっています。
もしよろしければ是非、最後までご覧下さい。
スペック・仕様
スペック・仕様の概要を下表に整理しました。
Bluetoothバージョン | 5.2 |
---|---|
対応コーデック | ABC、AAC、AptX、AptX-Adaptive |
連続再生時間 | 最大5時間 / ケース込み:最大15時間 *急速充電:5分で45分の音楽再生 |
防水性能 | IPX4 |
詳細 | Amazon |
スペックは必要最低限といった感じで連続再生時間も長くはないですが、TWSながらAB級アンプを搭載していたりと挑戦的な要素が多分に含まれたイヤホンです。
総評
音質について
賛否両論となった音質についてですが、声モノ(特に女性ボーカル)が極端に苦手で、声が霞を帯びたように籠もる上に遠くで聞こえます。
よって、ジャンルとしてポップスはほぼ全滅といった感じになります。
逆に弦楽器の生々しさや打楽器の箱鳴り等の表現力は突出しており、ジャンルがハマればこれ以上ないポテンシャルを秘めています。
表現は適切ではないかもしれませんが、「天才病」のような性質を持ったイヤホンと感じました。
スペック・機能について
スペックや機能に目立った特徴はありませんが、ノイズキャンセリングが非常に自然で音質への影響が殆どないにもかかわらずしっかり効きます。風切音防止モードも優秀で、ワークアウトで利用しやすいのも良いと感じました。
TWSとしては初のAB級アンプを搭載するなど、かなり挑戦的なイヤホンであったことも見て取れます。
否定的な評価が多かったことに対する考察
ZE8000は賛否がかなり分かれたイヤホンで、発売当初にかなりの物議を醸しました。
それもどちらかというと否定的な意見が多く、発売直後にメルカリへ大量出品される程でした。。
なぜこれだけ否定的な評価が多くなったのか、私なりに考察してみました。
声モノが極端に苦手
このイヤホン、声モノが極端に苦手で、ボーカルの声(特に女性ボーカル)がまるで毛布を被りながら歌っているかと錯覚する程度に奥まって聞こえます。
ゆえにポップスがほぼ全滅で、ポップスを主に聴いているユーザーからは特に反発されたようです。
final 8000シリーズに対する期待値の高さ
finalの8000シリーズはフラッグシップモデルに付与される番号であり既に「A8000」や「D8000」などの名機があります。
これらの完成度が非常に高く、ZE8000に対してもfinalの8000シリーズという大きな期待が寄せられていました。

ZE8000は実際に音質は良いものの、個性も強いため、期待を裏切られたと感じる方が多くおられたようです。
「8Kサウンド」という呼称に誤解が生じた
finalは公式HPに「8Kサウンド」について以下のように書かれています。
音域、楽器や声のどこに注意を向けても、奥行きも含めて全てにフォーカスが合うという初めての体験に、その印象を表現する言葉を見つけることができませんでした。例えるなら、次世代の映像規格「8K」の高精細さに圧倒された感覚に近い印象を受けたのです。そこで私たちはこのサウンドを新たに「8K SOUND」と呼ぶことにしました。
引用元:final公式HP ZE8000商品ページ
つまり、楽曲内のどのパートに集中してもそのパートにフォーカスが合うということです。
この特性はミュージシャンが自分のパートを耳コピする時のような一部の楽器にフォーカスを当てた聴き方には向いているのですが、俯瞰的に楽曲を聴くとすべてのパートの距離が同じに聴こえるため距離感が掴みにくく、楽曲によっては不自然に聞こえたりします。
私はユーザーが「8K」と聞いて抱く印象と開発側が「8K」と聞いて抱く印象に相違があったのだと考察しています。
ユーザーがイメージする音質と異なる音質を「8Kサウンド」と呼称してしまったfinalのマーケティングミスですね。
ZE2000およびZE3000の完成度が高かった
finalはZE8000の発売以前に「ZE2000」や「ZE3000」という完全ワイヤレスイヤホンを販売しており、これらがそれぞれ同社有線イヤホンのE2000やE3000のような表現力を持っており非常に完成度の高いイヤホンでした。
ZE2000やZE3000のレベルの完全ワイヤレスイヤホンを作れるなら、E8000という有線イヤホンは存在しないですが、もしかしたらA8000に近い音質なのかも!?と期待してしまったのかもしれません。

良かった点、気になった点
それでは実際に使用して良かった点、気になった点を紹介します。
良かった点
ジャンルがハマった時の異次元の表現力
歌もののポップスはかなり不得意ですが、オーケストラ音源、ギターインスト、ゲームBGMなどの(特に楽器個々にフォーカスを当てた際の)表現力は他の追随を許さないレベルで高いです。
既に他のハイエンドイヤホンを持っている人でも「こんな音鳴ってたんだ」と新たに気づかせてくれるレベルで繊細な音まできっちり鳴らしてくれます。
優秀なノイキャン性能とアンビエント性能
ノイズキャンセリングの圧迫感が少なく、音質への影響をほとんど感じないのですが、かなり強いキャンセリングがかかります。
通勤電車で使用しても問題ないレベルです。
また、アンビエント性能も優秀で、特に風切り音防止モードは不快な風斬り音が綺麗にキャンセルされるためワークアウトで使用しやすいのはとても良いと感じました。
気になった点
声モノが極端に苦手
先述しましたが、声モノが極端に苦手です。これはボーカルだけでなく、配信のような人が喋るものについても違和感があります。
また、FPSゲームの配信などを観ていても銃声や足音の距離感が掴みにくく気持ち悪いですね。
よってオールマイティーな使い方はできず、特定のジャンルに絞って音楽を聴くような限定的な使い方しかできないのはかなりのマイナス点だと思います。
ワイヤレス充電に非対応
本イヤホンケースはワイヤレス充電にUSB-Cに接続する必要があります。バッテリー持ちも決して良いとは言えず、充電頻度が高い割に充電頻度が高く手間がかかるのはマイナス点ですね。
ケースの底面に丸みがあり安定しない

ケースの底面が丸みを帯びており、机上でくるくると回って安定しません。
細かい点ではありますが、地味にストレスがかかります。ここはデザイン性だけでなく利便性も意識して欲しかったなと思いました。
まとめ
以上。本記事ではfinalの完全ワイヤレスイヤホン「ZE8000」を紹介しました。
個性が非常に強く、賛否両論があったのも理解できるイヤホンでした。ただしジャンルがハマった時の表現力については凄まじいポテンシャルを秘めています。
発売当時の36,800円では確かに高いと感じるかもしれませんが、現在は1万円代で入手できるため在庫がなくなる前に手に入れてみても良いと思います。
私個人的にはZE8000の唯一無二の個性が気に入り、これから長く使用するつもりです。
以下に商品リンクを掲載しておりますので、気になった方は是非詳細をチェックしてみて下さい。
本記事の内容が少しでも参考になりましたら嬉しいです。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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