ゲーミングアンプはPC周辺機器を主としているデバイスメーカー(LogicoolやSteel Series)が多くのシェアを持っており、オーディオ視点で高音質と思えるアンプはこれまで皆無でした。
そのような中、本格的なDACチップや4.4mmバランス出力などを備え、高インピーダンスなヘッドホンにも対応したゲーミングアンプ『Fosi Audio K7』のクラウドファンディングが開始されました。
今回はこの『K7』をFosi Audio様よりご提供頂きましたのでレビューしたいと思います。
こちらのゲーミングアンプは通常価格28,999円を予定しており、現在Makuakeにて23,999円で応援購入することができます。(終了しました)


本製品のポイント
・DACチップにAK4493SEQをDACを採用
・4.4mmバランス出力に対応
DACチップにAK4493SEQをDACを採用
DACチップ(デジタル音源をアナログ信号に変換するICチップ)にAKM(旭化成エレクトロニクス)製のAK4493SEQが採用されています。
AK4493SEQは小型据え置きタイプのオーディオDACアンプの多くに採用されているチップですね。
DACアンプに用いるDACチップ名はオーディオファンであれば必ず確認することですが、ゲーミングアンプで本格的なDACチップ名を公表した製品は私の知る限り本製品が初めてです。
4.4mmバランス出力に対応
ゲーミングアンプとしてはおそらく初の4.4mmバランス出力に対応しています。
バランス出力は左右の導線が独立しているため、左右の音が混ざる現象(クロストーク)が理論上発生しません。
クロストークが発生しないことで定位(各音の方向の分かりやすさ)が良くなるため、足音や銃声の位置把握が重要なFPSゲームにおいてバランス接続は有利な接続方式と言っていいでしょう。
スペック・仕様
スペック・仕様の概要を下表に整理しました。
チップセット | XMOS XU208+AKM4493SEO+QCC 3031+ TPA6120 |
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最大サンプリングレート | USB:PCM384kHz-32bit/DSD256 光:PCM 24bit/192kHz 同軸:PCM 24bit/192kHz Bluetooth: 24bit/48kHz |
ヘッドホン推奨インピーダンス | 16 – 300Ω |
入力 | 同軸、光、USB-C、3.5mmマイク |
出力 | RCA、3.5mm シングルエンド、4.4mm バランス |
Bluetoothバージョン | 5.0 |
Bluetooth接続距離 | ≦13m |
対応Bluetoothコーデック | SBC、AAC、APTX、APTX HD、APTX LL |
入力電圧と電流 | DC12V 2A |
パッケージ内容 | 本体、USBケーブル、Bluetoothアンテナ、12V電源アダプター、4極 ⇒ 3極+1極(マイク)変換ケーブル、ユーザーマニュアル |
詳細 | 公式HP |
電源供給がDC12V電源のセルフパワー方式のため、ゲーミングアンプの中ではかなりパワーがあります。
ヘッドホンの推奨インピーダンスが16Ω~300Ωと広く、高インピーダンスのイヤホンやヘッドホンを余裕で鳴らすことができます。
ちなみに私の愛用しているAudio TechnicaのATH-R70xはインピーダンスが470Ωのため推奨値を超えていますが、こちらも無ノイズで綺麗に鳴らすことができています。
実際に使用して良かった点、気になった点
それでは本製品を実際に使用して良かった点、気になった点を紹介します。
良かった点
本格オーディオ機器レベルの音質
本製品は確かに音質が良いです。
音質はフラットかつ高解像度で、密度とパワーがあります。
オーディオテクニカの高インピーダンスヘッドホン「ATH-R70x」(470Ω)も余裕で鳴らせるのは驚きました。

また、低インピーダンスイヤホン「SHURE SE846」(9Ω)を接続しても無音時のノイズが一切発生しません。本当にオーディオアンプとしても高レベルの品質ですね。
ゲームをしないオーディオ好きな人がオーディオアンプとしてデスクに置いておいて全然良いレベルです。
スピーカーへの接続と切り替えが可能
イヤホン・ヘッドホンだけでなく背面のRCA端子からスピーカーに接続することもできます。

出力先の切り替えもワンタッチで可能。
イヤホン・ヘッドホンのメインアンプ兼、スピーカーのプリアンプという使い方ができるのはとても良いですね。
豊富な入出力端子とその配置
入力がUSB、光、同軸、Bluetoothと豊富で、ボタンタッチによって切り替えることができます。
ヘッドホン出力が前面、スピーカー出力が背面にあるのも良いですね。
(愛用しているEPOSのGSX1000 2ndは全部背面にあるためイヤホンケーブルが引っかかったりして筐体がくるくる回るので困ってました。。)
コントロール類の使いやすさも含め、ユーザーインターフェースが洗練されている印象を受けました。


UAC1.0と2.0の切り替えが可能
UAC1.0に対応しているためPS5やNintendo Switchに直接接続することができます。
(愛用しているEPOSのGSX1000 2ndはUAC2.0のみ対応のためPCにしか接続できないのが難点だったんですよね。。)
しかもUAC2.0への切り替えも1タッチで可能なため、高ビットレートの音源を再生することもできます。
ゲーミング用途・オーディオ用途を簡単に切り替えできる仕様の細やかさは流石と感じました。
質感の高い筐体と使用性
筐体が金属製でズッシリしており、写真で見てた印象よりもかなり質感が良かったです。
デザインもゲーミングデバイスにありがちな奇抜さがないため、ゲームをしない人が普通に卓上オーディオアンプとして使用しても全く違和感はないと思います。

定価も3万円を切っているため、個人的に普通にオーディオアンプとしてデスクに置く値打ちがあると感じました。
気になった点
ゲーミングに特化した音質補正機能はない
イコライザーのプリセットやバーチャルサラウンドなどのゲーミングに特化した音質補正機能はありません。
あくまでUAC1.0に対応している高音質なDACアンプという感じですね。
ただ、余計な機能無しでも持ち前の解像度の高さとあらゆるイヤホン・ヘッドホンを鳴らしきれるパワーはゲーミング用途としてとても良いと思いました。
Bluetoothはトランスミッター機能無し
Bluetoothは入力のみでトランスミッター機能はありません。
ですのでBluetoothはゲームではなくスマホと接続してカジュアルに音楽を聴くための機能と割り切ったほうが良さそうです。
ゲーミングで使用できるBluetoothトランスミッターは現状eppfun製品の一強状態となっているため、これだけの高品位アンプが作れるFosi Audioが低遅延無線ゲーミングの分野に参入すると面白いかもと思いました。
XLR入力端子もあれば最高だった
4.4mmバランス接続に対応したヘッドセット等は皆無なため、4.4mm出力を使用する場合はマイク入力端子がお留守になると思います。
XLR入力端子があれば別途マイクを接続できるため、ゲーミングアンプを超えて高音質のオーディオインターフェースとして使えたのに少し勿体ないな。。と思いました。
XLR搭載のオーディオインターフェースのラインナップも追加すれば尚良いと思いました。
ご使用される際の注意点
説明書が英語と中国語のみで日本語がないため、説明書に記載の注意事項をここで紹介します。

注意点①:全ての接続が完了するまでデバイスの電源を入れないこと
注意点②:3.5mmと4.4mmの同時接続は非推奨
注意点①:全ての接続が完了するまでデバイスの電源を入れないこと
パワーのあるアンプのため、電源が入っている状態でプラグを抜き差しすると「ボン!」という破裂音が発生し、イヤホンやヘッドホンのドライバにダメージを与える可能性があります。
プラグの抜き差しは必ず電源を切った状態で行いましょう。
注意点②:3.5mmと4.4mmの同時接続は非推奨
3.5mmアンバランスと4.4mmバランスプラグの同時接続をすると、4.4mmのほうがアンバランス接続になる可能性があるそうです。
また、双方で出力パワーが異なるため、片側のイヤホン・ヘッドホンへの出力が大きくなりダメージを与える可能性があるとのこと。
電源を入れる前に必ずどちらに接続するかを決めてから片方の出力端子のみを使用するようにしましょう。
まとめ

以上。今回はFosi Audioのゲーミングアンプ『K7』を紹介しました。
本格的なDACチップと4.4mm出力を搭載しているとのことで以前から気になっていましたが、想像以上に良い製品でした。
実際にApex Legendsのランクマッチを数試合しましたが、音が聴こえている間の定位や分離感、距離感については完璧と言って良いと思います。(イヤホンはSHUREのSE846を使用)
(ただ現在のApex『シーズン24』は音バグ?という音がしないことがあったり味方の足音が大きく聴こえたりするので検証が難しい環境ではありますね^^;)

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