「スティック型USB-DAC」
これをスマホやPCに接続すると、手軽に音質を爆上げすることができるため、「もう高いDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)は要らない」などと言われることがあります。
本当にスティック型USB-DACがあればDAPは不要なのでしょうか?
私は「まだスティック型USB-DACは高級DAPには勝てない」と考えています。
その理由を本記事で説明します。
考察:USB-DACが高級DAPに勝てない理由
増幅回路の性能差
アンプの機能はDAC機能(デジタル信号をアナログ信号に変換すること)だけではありません。「ユーザーインターフェースの提供」と「音量の増幅」という役割があります。
特に、音量の増幅方法は音質に大きく影響します。
スティック型USB-DACはスマホやPCから給電するタイプが殆どで、サイズにも制約があることからノイズの混ざりやすい「D級アンプ」が採用されていることが殆どです。
対する高級DAPは大型のバッテリーと放熱機構を搭載しているモデルが多く、エネルギー効率は悪いのですが高音質の「A級」や「AB級」アンプの採用されている物が数多くあります。
つまり、増幅回路のクラスについてはまだまだ高級DAPには勝つことが出来ません。
アンプのクラスについては以下の記事にまとめていますので、もし良ければ併せてご確認下さい。
全体最適が図られている
スティック型USB-DACはスマホやケーブルの組み合わせが無限にあるため、機器同士の相性問題などの問題が生じる可能性があります。
逆に高級DAPについては全てが1つの筐体に収まっているため、配線素材やノイズ処理等についての全体最適が行われています。
つまり、目に見える性能面以外の微妙なチューニングはDAPのほうが優れていると考えます。
例外
エントリーモデルのDAPなら勝てる
エントリーモデルのDAPならスマホに接続したスティック型USB-DACが勝つと考えています。
理由はエントリーモデルのDAPは増幅回路にUSB-DACと同様のD級アンプを採用していることが殆どであることと、スペックが微妙で動作がもっさりしているモデルが多く、現行のスマホのユーザビリティに勝つことが基本的にできないからです。
アナログアンプ併用なら勝てる(かも)
Astell & Kern AK PA10のように「A級アンプを搭載したポータブルヘッドホンアンプ」なども最近は販売されています。
増幅回路をPA10のような高品位なヘッドホンアンプに任せることで、高級DAPに勝てる可能性はあります。
ただ、スティック型USB-DAC、アナログヘッドホンアンプ、スマートフォンを合わせると高級DAPも購入できるような価格になってしまうのは内緒です^^;
まとめ
以上、スティック型USB-DACが現状ではまだ高級DAPに勝てない理由について考察してみました。
スティック型USB-DACは非常に優秀で便利ですが、本気で音質を求めるなら、まだまだDAPに分があると考えています。