E3000は日本のオーディオブランドfinalが開発・販売している商品です。その音質と求めやすい価格から、一般のコンシューマーはもちろん、コアなオーディオマニアからも支持を受けているモデルです。
本記事ではこの『Final E3000』についてレビューを行います。
何故今更E3000のレビューを!?
イヤホンのレビューをする際に、まず基準となるイヤホンを設定し、そのイヤホンと比較して高域はどうか、低域はどうか、音場はどうかというふうに、相対的な評価をした方が解りやすいと考えたからです。
その基準となるイヤホンを設定する際に重要と考えたのが、
・クセが弱く全ての項目が”標準的”であること。
・既に所有している人が多いこと。
・流通量的に手に入り易く、価格が安価であること。
・小ぶりで老若男女問わずフィットする構造であること。
です。
これらの項目を全て満たすのがfinalのE3000でした。
今後鍋ログではE3000を基準として相対的にイヤホンの評価をしていきます。
(過去の記事も修正するかもしれません)
eイヤホン等でもすぐ手に入り、値段も手頃のためオススメできる製品です。
スペック・仕様
・筐体素材:ステンレス(かなり頑丈)
プラスチックではなくステンレス製の筐体です。この価格帯にしてはかなりの質感。
・インピーダンス:16Ω(標準的)
※一般的にインピーダンスが大きくなるにつれ鳴らしにくくなるためアンプの出力が必要となりますが、ノイズは少なくなっていきます。参考に、SHURE SE846は9Ω、SE215は20Ω、水月雨の群星は36Ωです。16Ωはスマホでも十分な音量を確保できる標準的なインピーダンスです。
・付属品
・イヤーフック(SHURE掛けも可能)
・イヤーピース(このイヤーピースは人気で、使わないサイズはメルカリで割と良い価格で売れます)
・ポーチ(簡易的なもので耐衝撃性は皆無です。あくまで傷防止程度)
・ケーブル長:1.2m(ポケットから伸ばす分には丁度良い長さ。卓上利用だと短く感じるかも)
詳細はe☆イヤホンの商品紹介ページよりチェックをお願いします。
良い点、気になる点
良い点
全ての帯域がフラットでモニターにもリスニングにも寄らないサウンド
音の硬さは寒色寄りでも暖色寄りでもなく、音場も狭すぎず広すぎず、音域も全ての帯域フラットに鳴っているため非常に聞き心地の良いサウンドです。
作業用のBGMとしても全く疲れることのないバランスの良いサウンド。
finalも公式ホームページに強調した音域を作っていない旨を記載されています。
E3000では、強調した音域を作らないことで、高い解像度と広いサウンドステージを実現しました。 低音から高音までバランス良く再生することで、ホールで音楽を聴いているような音の広がりを体感していただけます。 一聴したときのアピールよりも、長く使うほどに良さを感じる「定番」と呼ばれることを目指した、ナチュラルな音質を追求した製品です。
引用:final公式HP E3000商品ページ https://final-inc.com/products/e3000-jp
ステンレス製の美しいデザイン
筐体はステンレス筐体です。ステンレスは硬く加工が難しいため製造コストがかかるはずですが、この価格でステンレスを採用しているのは凄い。
ご存知の通りステンレスはキッチン用品やシンクに採用されている素材で、頑丈かつ酸化等の化学変化を起こしにくいため金属アレルギーのリスクも少ないです。finalのこだわりが感じられる質感になっています。
圧倒的コストパフォーマンス
4,000円以内で手に入るイヤホンとしてはかなりパフォーマンスが高いです。
この価格帯だとkzのZSN PRO Xのようにドンシャリで攻めるか、水月雨のquarksのように中高音に特化して攻めるかなど、ある程度音質クセをつけて一般的なコンシューマー向けに販売することが多いのですが、誤魔化しが効きにくく、音にピュアさを求めてる(耳が肥えててちょっとメンドクサイ!?)人が相手になる分野で勝負しているのが凄いです。
(※KzのZSN PRO Xと水月雨のquarksは筆者も愛用しているモデルですので決してディスってはいません。そういう傾向があるという例です)
音のナチュラルさという分野で勝負すれば1~3万円程度のレベルのイヤホンなら場合によっては食ってしまうくらいのポテンシャルを持っています。
気になる点
イヤーピースを交換したら左右がわかりにくい
finalのEタイプはイヤーピースをペロッとめくって赤色の方が右側になるのですが、イヤーピースを社外製に交換すると非常に左右が解りにくくなります。
一応本体にL、Rの表記はあるのですが、色や形で左右を判断できないのは辛いところ。
まぁ、このEタイプのイヤーピースは人気で純正のまま使う人も多いので純正派の人からは問題ない仕様ではありますが、イヤピを交換して使いたい人は要注意です。
エージングに時間がかかる
箱出しでも十分良いですが、メーカー公称値で概ね150~200時間程度のエージングが必要です。
単純計算で8~9日間くらい鳴らしっぱなしにしないといけないので結構大変ですね。
エージングとは、ある一定の時間、使用を続ける事で音に変化をもたらす現象の事です。 音を出すドライバーユニットは、熱で成形した極めて薄いフィルムが振動する事で音を出してます。その原因は明確ではありませんが、フィルムが成形される際に加わったストレスや接着剤によるストレスが、使用を続けている間に馴染み、微小信号の際動きやすくなるのではないかと考えられます。 本製品については、小口径であるため、エージングの変化がわかりにくくなるまでには長めの時間が必要です。概ね150~200時間程度、通常の使い方をして頂けましたら、繊細さが増し、本来の設計意図の音質になります。
引用:final公式HP E3000商品ページ https://final-inc.com/products/e3000-jp
*エージングにより、音質が良くなるという原因を明確に特定できていないため、今までエージングについて明示する事はありませんでした。 現象は以前より確認しており、またお客様からエージングについてのご質問を多く頂くため、見解を述べる事にいたしました。
鍋ログでは200時間のエージングを済ませた状態のものを基準にします。
まとめ
finalはオーディオマニアから多数の信者が生まれるほど数多くの名機と呼ばれる物を販売しており、その中でもE3000は比較的手にしやすい価格のモデルです。
JAZZやクラシックに一聴すべき「名盤」が存在するように、機材にも一聴すべき「名機」というものが存在すると思っています。(食わず嫌いは良くない)
近くにeイヤホン等の試聴環境がある人は是非一聴して欲しいイヤホンです。