AKG K872は、「密閉型ヘッドホンの最高峰」と評されることが多いモデルです。
しかし、実際に購入を考えた際に「本当に価格に見合う音質なのか」と迷う人も多いはずです。
結論から言うと、AKG K872はモニター用途を重視する人にとっては非常に完成度が高い一方、リスニング用途では好みが分かれるヘッドホンです。
万人向けではありませんが、刺さる人には強く刺さる明確な個性があります。
本記事では、これまで数十本以上のヘッドホン・イヤホンを実際にレビューしてきた筆者が、AKG K872を長期間使用した上で、音質の傾向、装着感、メリット・デメリットを正直に解説します。
スペック表だけでは分からない「使って分かった評価」を重視しています。
高価な密閉型ヘッドホン選びで失敗したくない方や、AKG K872が自分の用途に合うか判断したい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
スペック・仕様
スペックの概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | AKG K872 |
| タイプ | 密閉型(Closed-back) |
| 装着方式 | オーバーイヤー |
| ドライバー | 53mm ダイナミックドライバー |
| 再生周波数帯域 | 5Hz – 54000Hz |
| インピーダンス | 36Ω |
| 感度 | 112 dB SPL/V |
| 最大入力 | 300 mW |
| ケーブル | 着脱式 |
| ケーブル長 | 約3m |
| ケーブル接続端子(本体側) | mini XLR(3ピン) |
| プラグ | 3.5mmステレオミニプラグ |
| 変換アダプター | 6.3mm標準プラグ(スクリュー式)付属 |
| 重量 | 約390g(ケーブル除く) |
| イヤーパッド | 交換可能 |
| 折りたたみ | 非対応 |
| 付属品 | 着脱式ケーブル、キャリングケース |
ドライバー径は53mmと極大ですね^^;
再生可能周波数もかなり広くインピーダンスも36Ωと比較的鳴らしやすいため特別なアンプは必要とせずオーディオインターフェース直刺しでも十分な音量がとれます。
詳細なスペック・仕様はサウンドハウス様の商品ページのリンクを貼っておきますので以下よりご確認ください。
実際に使用して良かった点、気になった点
それでは実際に使用して良かった点、気になった点を述べます。
- モニター用途として完璧な音
- リスニング用途でも高い評価
- 長時間使用しても痛くならない装着感
- やたら長い3年保証
- エージングにかなり時間がかかる
- 頭を上下に動かす作業には向かない
- 消耗品が高価
以降にそれぞれの詳細を述べます。
良かった点
良かった点①:モニター用途として完璧な音
モニター用途とひと口に言っても、
・楽器演奏時の返し
・ミックス、マスタリング時の音量バランスチェック
・最終のノイズチェック
など多岐に渡るのですが、この1台で全てを網羅することが出来ます。
どの音域にフォーカスしても全てしっかり分離して細かいニュアンスまでクリアに表現しています。
遮音性も非常に高いためスタジオ内での使用も全く問題ありません。

良かった点②:リスニング用途でも高い評価
モニターヘッドホンにありがちな高域だけシャキシャキしていたり音が近く平面的で退屈なモノとは別次元です。
柔らかい音は柔らかく、硬い音は硬く、近い音は近く、遠い音は遠く、立体感があってリアリティが非常に高いです。
分析的な聴き方もできますが、音楽のリスニング用途でも映画観賞用途でもゲーム用途でも間違いない音質です。

良かった点③:長時間使用しても痛くならない装着感
筆者は1週間の内、1日が出社で残り4日は在宅ワークという環境で仕事をしています。
在宅ワーク時は一日中ヘッドホンを着用していることもあるのですが、普通のヘッドホンは2時間くらいで耳の周りや耳本体、あるいは頭頂部が痛くなるのですが、これは全く痛くなりません。
イヤーパッドがかなり深く作られているため耳がすっぽり入り、側圧もかなり優しめですが頭頂部に全荷重がかかる訳でもなく、非常にうまく荷重分散されています。

良かった点④:やたら長い3年保証
保証期間が3年もあります。ヒビノさんが販売しているモデルは語尾にY3とついているのですが、これは3年保証という意味です。
具体的にはAKGの保証2年にヒビノさん独自保証の1年がついています。
そもそもAKGの2年保証だけでも相当凄いのですが、3年保証は本気で凄いですよね。製品名に入れてアピールする理由も解ります。
ということでヒビノさん代理のAKG製品は中古ではなく新品の購入を強くお勧めします。
気になった点
気になった点①:エージングにかなり時間がかかる
箱出し直後の音はかなり重心が高く、低域も高域も硬いです。全体的にギンギンした音で音場も狭めです。
著者も「アレ?試聴時に聴いた音じゃないな、、」と思いました。
結論から言うと、エージングにかなり時間がかかります。
ネットでレビュー等見ていると「あぁ、これは多分エージング前に書いたレビューだな。」と思うことが多々あります。「重心が高い」「高域が硬い or 刺さる」、「低音が弱い」、「音場が狭い」といったワードがレビューに出てきたら箱出し直後でレビューしていると判断して間違いないと思います。
おすすめのエージング音源を以下に貼っておきます。そこそこの音量でそれぞれ3日くらい鳴らすとかなり硬さが取れて音の深みが増し、いい感じになります。
ただ、密閉型にしては音漏れが大きいため、エージング中はうるさくてノイローゼになりそうでした。
口径が53mmなので、もはや小型スピーカーですね^^;
気になった点②:頭を上下する作業には向かない
側圧が非常に優しいため、頭を縦に上下させたりするとズルズル滑ります。常にPCと向かい合うような作業なら問題ないのですが、勉強や書き物、基準書等を頻繁に読む設計職の仕事など、頭の動きが(物理的に)多い作業にはあまり向かないです。(私が個人的に仕事をしながら感じていることです)
気になった点③:消耗品が高価
消耗品であるイヤーパッドは片方で13,800円、ケーブルは16,800円と非常に高価です。
イヤーパッドの交換だけで安いヘッドホンが購入できるくらいの価格のためライフサイクルコストがそこそこ高くなります。
まとめ

特にエージングについては前後でかなり印象が変わります(多くの人にとっていい印象に変わると思います)
箱出し直後で何か印象が違うと感じている方は是非試してみてください。
コロナ禍の値上がりによってもうマトモな価格では手に入らないと諦めかけていたので、サウンドハウスさんで在庫が復活してるのを見た時は飛び上がるように嬉しかったです。
eイヤホン等でも試聴できるので、是非一度試聴なさって欲しいヘッドホンです。
また、見た目がそっくりで開放型のK812も相当良いので試聴時には是非こちらも併せて試聴なさってください。



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