IE100ProとIE200はドイツ発祥の老舗オーディオブランド「SENNHEISER(ゼンハイザー)」の展開するエントリークラスのインイヤーモニター(通称:イヤモニ)です。
ゲーミングで有名なのはIE100Proだけど、IE100Proより1万円高いIE200のほうが性能が良いの?音質も良いの?などの疑問を持っている方が多いと思うので、両者を所有している筆者が比較しました。
以下に両者の概要を記載します。
スペック・仕様の比較
スペック及び仕様の比較は下表のとおりです。
スペック上、周波数特性やTHDはIE200のほうが上です。
ちなみに、周波数帯域について人間の可聴範囲は20Hz~20kHz程度と言われています。
IE100Pro | IE200 | |
ドライバ構成 | 1DD(Φ10mm) | 1DD(Φ7mm) |
インピーダンス | 20Ω | 18Ω |
周波数帯域 | 20Hz~18kHz | 6Hz~20kHz |
THD | 0.1%未満 | 0.08%未満 |
詳細については以下のリンクよりご確認をお願いします。
結論
結論からいうと、両者は対象にしているユーザーが違うため、目的に合致しているものを購入するのが正しいです。両者の公式HPでの説明を確認しましょう。
IE100Proの説明
ライブステージでの期待に応える IE 100 PROは、新開発のダイナミック・ドライバーを搭載し、ライブ・パフォーマンスのための正確なアコースティック環境を実現します。革新的な振動板は、暖かみのあるサウンドを実現しながらも、パワフルで豊かなディテールを実現します。非常に大きな音量の環境でも、あらゆる面で歪のない明瞭なサウンドを実現します。ミュージシャンやDJは、その卓越したサウンドと高い装着感を求めてIE 100 PROを選びます。
ゼンハイザージャパン公式HP:https://ja-jp.sennheiser.com/ie100pro
IE200の説明
音のエキスパートであるゼンハイザーが誇る有線イヤホンのIEシリーズ、そのDNAをまとったイヤホン。 高音質をさらに身近に、そして気軽に堪能できるモデルが登場。繊細で明瞭、抜群にバランスの取れた音質で臨場感溢れるサウンドを奏でるIE 200。 オールブラックのシックなデザインに仕上げたイヤホンはあらゆる耳にフィットし、お気に入りの楽曲に新たな発見をもたらす一品です。
ゼンハイザージャパン公式HP:https://www.sennheiser-hearing.com/ja-JP/p/ie-200/
両者の棲み分け
以上のように、IE100ProはミュージシャンやDJなどのプロ用のモニター想定しており、IE200はお気に入りの楽曲を聴くコンシューマーを想定しています。
よって、どのような用途で使用するかによってどちらを選ぶかを決めるのが良いです。
■IE100Proの対象ユーザー
・楽器演奏やDJの返しのモニターを探している方
・動画制作、音楽制作のミックスやマスタリングでイヤホンを使用したい方
・音楽を分析的に聴きたい方
■IE200の対象ユーザー
・音楽を楽しみたい方
コンシューマーを想定しているIE200についてはリスニング用にチューニングされており、音に対する好みがあるので必ず試聴をしたほうが良いと思います。
対するIE100Proについてはモニター用で音にクセが無いため、音楽鑑賞を目的としていなければ無試聴でも基本的に間違いの無い音だと思います。
音質の比較
音質の比較については定量的に計測した値ではありません。
あくまで筆者の主観であることはご了承ください。
レーダーチャートにまとめると以下のようになります。
全体的にしっかりバランスしているのはIE100Pro、中高域のヌケが良く開放感のあるサウンドはIE200といった感じです。
ゲーミング性能の比較
ゲーミング性能についても筆者の主観になります。
確認は人気バトルロワイヤルゲーム「APEX Legends」で確認しました。
基本的に定位などの性能は互角だと思います、ただ、遠くで鉄板を歩く音のような低域成分を多く含みかつ小さい音については低域の出るIE100Proのほうが聞き取りやすいと感じました。
対して、バトル終盤の混戦した撃ち合いなどの至近距離の銃声のキツさはヌケの良いIE200のほうが使いやすいと感じました。(IE100Proは高域が硬いため、戦闘終了後に耳がキーンとすることがあります)
ただ、性能に大きな差は無いため、ゲーミングについては好みで選んで問題ないと思います。
IE100Proの優れている点
コストパフォーマンス
価格が1万2,000円程度とインイヤーモニターとしては比較的安い分類に入るにもかかわらず、プロのゲーマーやミュージシャンに愛用者がいるほどモニターとしての性能が高いです。
全帯域を鳴らす能力
低域位から高域までをバランスよく鳴らす能力においてはモニターイヤホンであるIE100Proのほうが高いといえます。どこの帯域にも偏りがなく、バランスの良いフラットな音を鳴らしてくれます。
使用用途の幅が広い
IE100Proはプロ用のモニターとして開発されているため、音楽のミックス作業や動画制作、楽器演奏時のモニターなどの業務用としても活用できます。
また、モニター特有の平面的が感じがなく、高域に若干の硬さはあるものの全体的に音が全体的に柔らかいため、リスニング用途としても多くの人にとって満足のいく音質になっています。
IE200の優れている点
高域のヌケの良さと音場の広さ
IE200は特に中高域のヌケの良さと音場の広さが特筆すべき特徴で、この中高域はハイエンドにも匹敵するレベルと思います。
特に開放感のある音や中高域にこだわりのある方は好まれるチューニングになっています。
ケーブルの取り回しの良さ
IE200は標準でブレードケーブルが採用されており、非常にしなやかで取り回しが良いです。
タッチノイズも少なく、日常でカジュアルに使用するのに優れたケーブルになっています。
サウンドの微調整が可能
IE200はデュアルチューニング機構が採用されており、イヤーピースの装着位置によって低域を2段階コントロールすることがでます。
聴く楽曲に合わせて手軽にチューニングすることができます。
まとめ
以上のとおり、両者は対象としているユーザー層が違うため、どちらが優れているという比較はできません。目的によって選定するのが正解です。
過去にそれぞれの機種に対する記事も書いているので、良ければ併せてご確認下さい。